☆ある日の休日、ママさんは私をワインの買い出しがてら、ドライブに連れていってくれた。カリフォルニアはアメリカは西海岸の著名なワインの産地であり、私の住んでいたMartinezからは車で約3時間でワインカントリーと呼ばれる一帯に着く。
ここサンフランシスコ近郊の人々は、休日にドライブをかねては、このワインカントリーに数多く点在しているワイナリー(ワインの製造直売業者)へワインの買い出しに出かける。
家からものの30分も車を走らせていると、当たりは一面どこか見慣れた草原や田畑や農家の景色となり、一瞬、奈良の大和路をドライブしているかのような錯覚に陥る。
やがてママさんは、おもむろに私に家族のことについて車中で話してくれた。
実は現在の夫であるパパさんとは再婚同志であり、双方の連れ子を伴って結婚したとのことである。
また、そのような家族をアメリカではBrend Family(ブレンド・ファミリー)と呼ばれているそうである。
なお、前夫と別れた理由は、お金を自由に使わせてくれなかったが為であるとのことであった。
通常、夫がその給料をほとんどその妻に手渡すのは日本ぐらいのもので、アメリカでは財布の紐は夫が握っており、妻には生活費やその他の費用を其の都度必要分を手渡すのである。
ママさんの前夫は、お金を、特に小遣いをくれなかったので離婚したとのことであった。
日本のハズバンドは、普通、ワイフに給料は全部渡すよとママさんに言うと、彼女は笑いながら次は日本人と結婚すると言った。
ところで、ママさんのファミリーが双方の連れ子で構成されていると聞き及び、私はやっとのことで納得がいった。
何故ならば、子供達をよく観てみると、ママさん系の金髪の子供と、パパさん系の黒髪の子供に歴然と分かれており、しかも、よくよく聞いてみると長男と長女が生まれ月は2-3ヶ月離れてはいるものの、二人とも同い年であるのだ。
私は当初、「さすがはアメリカ人だ、日本人とは体の出来が違う! 一年に二回も出産したのかっ!!」と感心した。
・・・が、そんなバカなことはない。
しかしながら、家庭のプライベートな事柄でもあり、聞くのもはばかられ、独りで悩んでいたのである。
驚いたことには、月に何回かは(特に週末)、子供達の実父母(ママさんやパパ三の前夫前妻)が時々家にやってきては、それぞれの子供をどこかへ連れ去るのである。
ママさんに伺うと、離婚の時の裁判の判決で、月に何回かは子供に会わせることになっているとのことである。
日本なら、普通は別れた配偶者は、気兼ねしてその子供とも迂闊には会ったりしないだろう。
これがアメリカ流のドライな考え方というやつなのかも知れないが・・・・。
To be continued!