☆所変われば品変わり、エチケットもマナーも変わるものである。私が体験した2-3の日米比較例を紹介する。
例えば人前で鼻をかむとき、日本ならば相手に背を向けるか、一人で蔵の中に入って隠れてかむのが普通である。
一方、やむを得ず自分の眼前で鼻をかまれた相手も心の中では「うわー汚いなーっ!シッ、シッ、あっち行け!」と思いつつも、そのようなことは表情にも出さず、ただ遠くを眺めて汽笛の音を聞いているだけであろう。
これがアメリカだと相手の目の前で、老若男女の区別無く、また、親子関係、友人関係、親戚関係、近所関係、恋人関係、愛人関係、赤の他人関係、敵対関係、友好関係、僧俗関係、被告原告、検察弁護人の区別無く、これ見よがしに「さぁ、見んかい!!」と堂々と鼻をかむ。
もし、日本のように相手に背を向けて鼻をかんだなら、相手はきっと「私のことを嫌っているのだろうか、憎んでいるのだろうか、愛してはいないのだろうか・・・!?」と心配するのである。
アメリカへ行ったなら、人前で堂々と鼻をかむこと!
次に人前で放屁、即ち屁をこくこと。
もちろんのことながら、アメリカであっても、あまり人前では堂々とやらない。
しかしながら、一般には身体の正常な働きの一つであるという認識があるので、日本でほど恥ずかしがらなくても大丈夫である。
ただし、大統領などの偉い人の前や、葬式などの改まった場所では慎んだ方が無難である。
そして次は人前で欠伸(あくび)をすること。
これは相手に対して、「お前と一緒にいたら退屈でたまらんわい! バカか、お前はは!?」と受け取られる可能性もあるので、極力、控える方が良い。
睡眠不足などで、無意識に相手の前で欠伸をしてしまったら、率直に「Sorry!」と謝った方が良い。
最後に食事時のゲップであるが、これだけは絶対に死んでも、脅されても、泣きつかれても、電車の中で前に座っている女の子の下着が運良く見えても、やってはならない!
一番不作法で失礼なことだからである。
ゲップをしたら死刑になると自分に言い聞かせておくべきだ。
お腹が空いているときなど、思いっきり肉類を頬張ってしまいそうだが、彼等アメリカ人が食事に出された大きな肉をナイフとフォークで小刻みに切って食べるのは、まず食事というものが会話を楽しむものであり、物を食べる動作からすぐに会話に移れるように(すばやくごくんと食事を飲み込む)と、もう一つはゲップの予防に相違ない。
万が一、ゲップをやってしまったら、これはもう開き直るしかないが、後がどうなっても私の関知するとことろでない。
かくいう私もゲップには苦労した。
アメリカ人は食事の最中、日本とは違ってあまり水は飲まない。
大人はたいていワインを飲み、子供達はミルクを飲む。
アルコールが嫌いな私はいつもコーラを飲んでいた。
ところが、承知の通り炭酸類というものは、非常にゲップが出やすい。
経験して分かったが、ゲップを我慢するということは、放屁や欠伸を我慢するのとは比較にならないくらい苦しいものである。
楽しいはずの食事ではあるが、しばしば私は地獄の苦しみを味わう時でもあった。
それでは、なぜいつもコーラを飲んでいたのか?
オレンジジュース(Orange Juice)やソフトドリンク(Soft Drink)よりも、発音が簡単だったからである。
「Cola、please!」
ちなみにアラブ世界では食後のゲップが最高のマナーらしい・・・。
To be continued!