サンフランシスコ紀行

サンタモニカの街角
サンタモニカの街角・・・・



Vol.6 俺に道を聞くな!

☆ダウンタウンに戻った私は、しばらくはその界隈を視察することにした。

すると突然、前からやってきた恰幅の良さそうな黒人のオッサンが、私を呼び止め、そして道を訊ねるのである。

私は驚いた!

「何で私に道を訊ねるのだ!? 見れば分かるだろう! 私は日本人なんだ、ここアメリカでは、私は栄えある外人なんだ・・・・!!」

私は適当にそのオッサンをあしらい、気を取り直して歩を進めた。

すると今度は、前方右ななめ45度の方向から3人連れの白人のオバサン連中が道を占領しながらやってきた。

洋の東西を問わず、オバサンという人種は道いっぱいに広がって、大声でしゃべりながら練り歩くものらしい。

私は関わり合いにはなるまいぞと、そそくさ通り過ぎて行こうと思ったその時である。

厚かましくも、めざとく私に気づいたオバサンの中の一人が、またしても私に道を訊ねるのである。

私は、「ええかげんにしなさい! 何で俺に道を聞くんや! 見たら分かるやろ、わしは大阪人や!」と心の中で思わず叫んでしまった。

その時である。

私はふと辺りを見回した。

ダウンタウンだけあって、多くの人々が行き来している。

彼らの顔と肌の色を見て、私はハタと悟った。

アメリカは人種のるつぼである。

白人もいれば黒人もおり、そして黄色人種もいる。 すなわち「これがアメリカ人だ!」という人種は存在しないのである。

「そうか、それで私に道を訊ねてきたのか・・・!」と私は納得した。

以降、私は道を訊ねてくるアメリカ人に対しては、「わし大阪から来ましてん、なんもわかりませんわ!」と丁寧に教えてやることにした。

・・・・と思っていると、前方から日本人丸だしの、すなわち首からカメラをさげ、よれよれのスーツに眼鏡をかけたオッサン一人が、もみ手をしながら私に話しかけてきた。

「ア、アノーXXホテルヘユクニハ、ドウイケバイイノデスカー?」

そのオッサンは、自分では英語を話しているつもりらしく、日本語を英語のイントネーションで必死になってしゃべっていた。

どうやらツアーの人達とはぐれたらしい。

そして私のことを日系アメリカ人とでも思っているのであろう。

「オッサン、わしは日本人や!」

「アノウ、スミマセンガ・・・・」

「日本語を英語風に発音しても無駄やて!」

「オウ、ワタシハ・・・」

「日本人やて!」

「プ、プリーズ・・・」

「日本人やいうてるやろっ!!」

「え、えーっ! 日本の方ですか!? す、すんませんでした!」

やれやれ、私は親切にも、こわーい、アブナイ、たとえ死んでも旅行者は近寄ってはならぬと言われているハーレム(ギャング街)の方向を、そのオッサンに教えてあげた。

いたずらのつもりであった。

若気の至りであろう!

オッサンは礼を言って、そのハーレムの方向に消えていった。

その後オッサンがどうなったのかは、誰も知らないと言われている・・・。

そして次の日、私もハーレムを体験することになる。


To be continued!




前のページへ戻るトップページ次のページへ




All Rights Rserved,Copy Right(C)Y.Bijohira/OfficeLEIBSTANDARTE,1998

Nr.19980601SFS006