☆アメリカでの第一夜を、私はダウンタウンに近いボナヴェンチャーホテルに求めた。その夜は時差ボケで疲れていたせいもあり、グッスリ眠ることができた。
翌日、私は、あの桜田淳子のヒット曲で一躍世界的に著名な観光地となったサンタモニカを視察することにした。
ところで、ひとくちにロスアンゼルスといってもたいそう広く、日本の関東平野ぐらいの大きさがあり、その中にサンタモニカやハリウッドなどの観光ポイントが点在している。
したがって同地の観光では足の確保が大きな課題となってくる。
バスでは乗り替えや往復に時間がかかり不便である。
レンタカーではよほど慣れていない限り、見知らぬ土地でもあるのでたえず危険が付きまとう。
いわゆる流しのタクシーというものが存在せず、だからといってタクシーを借り切ったのでは、これまた費用がかかりすぎる。
徒歩では自衛隊出身者でもない限り、素人が日に数十キロも歩くことは不可能であろう。
そこでお薦めは、タクシーのピック・アップ・サービスである。
タクシーを利用して目的地まで着くと、運ちゃんに○○時に、またここへ迎えに来てくれと頼むのである。
すると律儀にも、タクシーは指定の場所と時間で待ってくれているのである。
これなら実際に乗った分だけの料金なので比較的に経済的である。
ただしタクシーの運ちゃんはヒスパニック系やメキシコ系の奴が少なくなく、英語が余り通じないときもあるので要注意である。
さてサンタモニカに着いた私は、悠々と日程をこなすことにした。
だが私が観たものは、溢れんばかりのホームレス・ピープルの群れの波であった。
どの顔も全く生気がなく、まるでゾンビのようであった。
めざとく私に気づいた彼らは、ひとり、またひとりと物乞いにやって来るのである。
私は思わず後ずさりをしてしまった。
後日、知り合いになった初老の弁護士に、このことを尋ねてみた。
すると彼の顔色は曇り、そして語ってくれた。
実は彼の一人息子も今はホームレスの仲間入りをしているとのことである。
一流大学を優秀な成績で卒業した彼の息子は、やはり弁護士となって活躍していたが、ある日突然働くのがいやになりホームレスになったという。
日本にもホームレスは存在するが、アメリカのものとは質が違うようだと言う私に、その初老のアメリカ人弁護士は「つまり、アメリカのホームレスはここの問題だ・・・!」と自分の頭を指さしたのであった。
乞食は三日やると辞められなくなるという。
ホームレスもまたそうなのであろうか!?
ある日突然働くのがいやになる・・・・・一見笑い話のようでもあるが、これはもしかすると明日の私であり、そしてあなたなのかも知れない。
サンタモニカを後にした私はダウンタウンへ戻ることにした。
だがそこで私が見たものは・・・・。
To be continued!