サンフランシスコ紀行

美少女達と・・・
向かって左からシェリー、筆者、ジェニー



Vol.4 これがアメリカなんだ・・・・。

☆Farmer's Marketに着いた私は、食事もそこそこに、まずはアメリカ大陸第一歩における文化面での視察をせねばとの使命感を覚えた。

そして、それには本屋さんを調査するのが最適の方策であるとの結論に至り、近くにあった書店の中へと入っていった。

私はおもむろに周りの視線を気にしながらも、男性誌のコーナーへとすり寄っていったのである。

日本でいたときと全く同じ所作である。

別に悪いことをしているわけではないが、私は息を呑みながらも、そこに置かれていたプレイボーイとペントハウスを手に取り、そして仏壇の扉を開けるが如く慎重にページを開いて中のヌード写真を拝んだ。

私は思わず出そうになった歓声と鼻血を鉄の意志で押さえ込み、そして心の中で叫ばずにはおられなかった。

「これがアメリカなんだ・・・・。」と!

数分後、冷静さを取り戻した私はあることに気がついた。

そこには、プレイボーイとペントハウスしか置かれていなかったのである。

人間の欲望とは膨張するものである。

救いを自己の外側に求める限り、人は求めて得られざるを嘆き、また得ることができたとしても、更なる欲望の隆起に身を焦がし悶え苦しむのである。

私はアメリカには日本と比較にならないほど、もっと多くのエロ本が存在すると思って期待していたのである。

ところが、書店にはたった2冊しかなかったのだ。

まさか人前では人格者を装っている私が、アメリカの庶民に「エロ本はどこにありまんねや!?」と聞く訳にもいかない。

そのような行為は国辱行為であり、私は国賊となってしまうであろう。

私は思わずこみ上げてくる動揺を禁じ得ず、「天は我々を見放した・・・!」とつぶやいてしまった。

すっかり途方に暮れ、元気をなくした私はホテルへ行って酒でも飲もうと考え、近くにあったリカー(酒屋さん)へ立ち寄った。

そこでビールとお菓子を手に取り、レジへ行こうと振り返ったまさにその時である!

私は我と我が目を疑った。

なんと、レジの横の陳列棚にエロ本が山ほど(大阪風に言うとアホほど)積まれて売られていたのである。

「何故だ、何故なんだ! 本屋さんにないものが酒屋さんにあるなんて!!」

私は、恐る恐る頭の禿げた、いかにも品のなさそうな店番のオッサンに尋ねて問うた。

「オ、オッサン! 私は日本からはるばるやって来た真面目な青年なんですが、どうしてエロ本が本屋になくて、こげな所で売っとるとですか?」

店番のオッサンは不審の目を私に投げかけながらも、ニヤっと笑って丁寧に教えてくれた。

「そんなもんおめえ、一般の本屋で売ったら未成年の悪ガキどもが見みるに決まっとるじゃろ。 そげな教育に悪かことはできんばい! ここアメリカの酒屋じゃあ、未成年の者ば入ることはできんし、疑わしか奴は身分証明書の提示を要求することもできでごわす!」・・・・・とのことであった。

私は何と合理的な考えなのかと感心しつつ、研究のために5、6冊のエロ本を買い占めてその酒屋を後にした。

そして心の中でつぶやいた。

「これがアメリカなんだ・・・・。」

次に私はメルローズ・アヴェニューというショッピング街を訪れた。

実は私はブティックや雑貨店などを見て歩くのが好きで、今回のアメリカ訪問でもここへ来るのを楽しみにしていたのである。

有名なショッピング街であるので、きっと綺麗なお姉さんも多く、おしゃれなブティックが所狭しと軒を連ねているんだろうと私は思っていたのだ。

ところが、いざ現地に来てみると、所々ひび割れた広い道路の両サイドにポツンポツンとまばらに店舗があるだけで、あたりの雰囲気はまるで西部劇の1シーンにでもでてきそうな荒れた光景だったのである。

そこには、日本のショッピング街にありがちな、天井のアーケードも、模様の入った道も、お好み焼き屋も、たこ焼き屋も、夜店の金魚すくいも存在せず、自転車の前と後ろに子供を乗せハンドルの両サイドにビニールの買い物袋をぶら下げたとんでもないオバさんさえもいなかったのである。

私の身体の中を一陣のつむじ風が通り抜けて行くのを感じた。

そして、心の中でつぶやいた。

「これがアメリカなんだ・・・・。」

だが、それはその後に起こる全ての悪夢の前兆であったのだ・・・。


To be continued!




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