サンフランシスコ紀行

アルカトラス島を望む・・・
フィッシャーマンズワーフ・ピア39あたりから見るアルカトラス島


◆プロローグ◆



★もし私の人生を半分に分けるとすると、次のように分けることができよう。

すなわち、「アメリカに行く前」と「アメリカに行った後」にである。

幸いにして、人生におけるもっとも多感な一時期を異国の地で、異文化の中で過ごせたことは、私にとって単なる貴重な体験であったといのみならず、その後の人生観にも多大な影響を与えることにもなった。

詳しい内容は本文に譲ることとして、本書のタイトルは「サンフランシスコ紀行」とはなっているが、内容的にはアメリカ体験記である。

しかしながら、私は私の第二の故郷とも言うべきこの愛する街の名前をタイトルに冠した。

サンフランシスコは年中穏やかな気候であり、アメリカにして比較的に治安は良く、有名な坂道をまるでおもちゃのようなケーブルカーが行き来する箱庭のような愛らしい街である。

サンフランシスコには、ひとつだけ欠点があるという。

それは、「去り難い」ということである。

人間というものは、自分の生まれてくる場所というものを自分自身では選択できない。

気がつけば、ある人はアメリカ人としてアメリカに生まれ、またある人は日本人として日本に生まれているのだ。

されば、もし許されて自分の人生に幕を下ろす場所なら選択することができるのであれば、私は迷わずサンフランシスコを選ぶであろう。

そうして、私はサンフランシスコに吹く風となり、海燕(うみつばめ)たちとベイ・エリアに遊ぶのだ。

日本に戻った私は、アメリカで見たこと、聞いたこと、感じたこと、考えたこと全てを文章にまとめたいと久しく考えていたのであるが、雑用などに忙殺されてその機会を逸していたのであった。

それに、私の大切な思い出は、いつまでも私だけの胸の内でそっと暖め続けていたいとも考えていた。

しかしながら、他方で何かひとつの型に残しておきたいとの止むに已まれぬ心情もあり、今般、誠に文才のない身ではあるが、敢えて筆をとった次第である。

ここに描かれたアメリカは、アメリカのほんの一部分であり、ましてや私が短い期間に、個人的に体験した些細な出来事である。

これのみを以ってアメリカを論じるつもりは毛頭ないが、望むらくは本編が異文化を知る一助ともなれば、筆者望外の喜びとするところである。

最後になったが、発刊にあたっては多くの友人や知人並びに関係者のご協力やご援助を仰いだことを、ここにお礼申し上げたい。

また起稿のきっかけともなった友人の平野洋子さんへも感謝の念を捧げると共に、この一編をアメリカのステファニー・ママさんに贈るものである。


平成10年6月6日


★原作者:風亜 舞(「ふうあ・まい」と発音して下さい!)




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