Waffen-SS武装親衛隊

(翻訳者のご挨拶)


◆私が学生だった頃に、同世代の学生の平和意識を仲間と調査してその結果を先生にお届けしたところ、丁寧なご返事を頂き、そのうえ沖縄研修道場の旧ミサイル・サイトの地下(世界不戦の碑)に埋納して頂くことができました。

それ以来社会人になった今日まで「平和」についての自己研鑽を課題にしてきました。

また、先生はN顕との戦いを通して、ヒトラーやスターリンまたホロコーストなどの人間の心の奥深い魔性についても教えてくださいました。

こうしたきっかけが重なって、1人の加害者の心根を通して見たホロコーストを、手記によって描き出そうと試みてみました。

拙い翻訳ですので、読みにくい箇所も多々あると思いますが、どうか最後まで読み通してみてください。

小生の拙訳が読んでくださった方にとって先生の言われていることを少しでも思索できる一助になれば望外の幸いです。


1998年5月6日

BRB@千葉県北西部




(編集者のご挨拶)


◆親衛隊(SS=Schutz Staffel)のエンブレム(紋章)は、髑髏(ドクロ=Totenkopf)である。

いかにも人々に恐怖を与え、死をそのものを予感させるかのようであるが、元来その意味するところは、死んでも(ドクロになっても)ヒトラー総統に忠誠を誓うというものであった。

SS隊員なら誰もが持っていたであろうSSリングに彫られた”Meine Ehre heisst Treue!”(忠誠は我が名誉!)こそ、彼らが誇りであったろう。

SA(突撃隊=Sturm Abteilung)やSS(親衛隊)では点呼の際、本来ならば欠員として読み上げられないであろう戦死者の名前も、指揮官は読み上げることになっていた。

そうして、戦死者の名簿が読み上げられた時は、生き残って整列している戦友たちが、代わりに返事をするのだ。

それは、名誉の戦死を遂げた者は、死してなお精霊となりて部隊の中に存在しているという習わしによるものであり、ナチ党歌(ホルストベッセル)の歌詞の中にもそのことは唄われている。

SA隊員の中から選抜されて、ヒトラー個人に忠誠を誓い、彼を警護する役目を担ったSS親衛隊であったが、後にはドイツ第三帝国の中枢を支配するように強力で強大な組織になり、その陣容は一般SS(一般親衛隊=Argemeine-SS)とWaffen-SS(武装親衛隊)とに二分された。

いわゆる黒服にハーケンクロイツの腕章のお馴染みのスタイルは、一般SS隊員のものである。

武装親衛隊は、ドイツ国防軍の陸海空3軍に次ぐ第4軍として創設されたものであるが、実は国防軍以上のドイツ最精強軍であり、彼らはまた誇り高き軍人でもあった。

元アメリカ大統領レーガンが、在職当時、親衛隊員の墓碑に献花して物議を醸しだしたことは有名である。

親衛隊で、実際にホロコーストに手を染めたのは(もちろんのことながら、多かれ少なかれ親衛隊は、特に一般SS隊員は残虐行為に手を染めたであろうが)、本文にもあるとおり特殊部隊員である。

(もっとも、実際に現場で手を下したのは、SS特殊部隊員に命令されたクロチア人SS隊員「SS民族師団と呼ばれている」やウクライナ兵、ルーマニア兵などが多かったようだが・・・)

しかしながら、ここで考えて頂きたい!

当時の多くのドイツ人にとって、ヒトラー総統は神以上の存在であった。

就中(なかんずく)、活気と意気に溢れる当時の青年たちにとっては、総統はまさに憧れと尊敬の存在であったろうことは想像に難くない。

そうした中、難関を通り抜けて晴れて黒服を着用できた時(親衛隊に入隊できた時)、もはや言い得ようのないエリート意識が彼らの心中を支配したことだろう。

だからといって、彼らのなしたホロコーストについて弁護する気はないが、一方、当時の全体主義国家にあっては、抗命(命令に逆らうこと)は、即ち己(おのれ)の死や一族の没落を意味することも事実であろう。

恐ろしいことは、過(あやま)てる思想に感応することや、過てる政治的指導者を戴くこと、それに過てる政府を黙認することであり、これは現在でも留意すべきことがらである。

私たちは、このことを心肝に染めて政治を監視しなければならない。

悲劇は繰り返してはならないから・・・。


1998年5月6日

冴島 歳三




(編集者よりの追伸)


今般、BRB@千葉県北西部さんとの、「ホロコースト」に関するサイト構築作業を通しまして、以下の言葉を思い出しました。

人間の心の中に棲む魔性についての含蓄ある言葉です・・・。


★ドイツ第三帝国ナチス親衛隊帝国指導者ハインリッヒ・ヒムラーの言葉


「いわゆる反ユダヤ主義というものは、人道上の問題ではない。 それはノミやシラミ退治と同じく衛生上の問題である。」


★ニュールンベルグ裁判の時の連合国側のある検事の言葉


「彼ら(ナチ)は、家族を愛し、犬を可愛がり、音楽などの芸術を好む。だが、その一方で大量虐殺に手を染めているのだ。その辺の彼らの神経が理解できない。これでは、音楽や芸術を愛しているからといって、その人が善人だとは言い難く、人間不信に陥る。」


★(旧ソ連反戦映画「狼たちの午後」のナレーター)


「彼らドイツ兵はとてもハンサムで賢そうだ。だが、彼らのポケットの中には、彼らの愛する家族の写真に混じって、我らが(ソ連人)同胞の虐殺現場の写真が誇らしげに保管されているのだ。このような写真と家族の写真を一緒に持ち歩くとは・・・・・」




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